そばにいたい。
「…ゆっくりでいいから」
え…??
龍って人がそう言って背中をさすってくれた
「ケホッ、スゥ…ゴホッゴホ、ゼェゼェスゥ、ハァ…」
「そう…続けろ」
命令形だったけど、このときはなん安心できたんだ
「ゴホッ…スゥ、ハァ…」
「だいぶ落ち着いたな…」
「はぃ…あり、がとうございました…」
「吸入器忘れんなよ…??」
「はぃ…」
龍って人に軽くお説教されて、
少しシュンとなって答えた
「玲菜、大丈夫??」
「ぅん…ゴメンね??
悠莉まで遅刻させちゃった…」
悠莉に心配されて、
悠莉まで遅刻にさせちゃったことを思い出して謝った
「大丈夫だよ!!そんなこと気にしないで??」
「ぅん…」
悠莉はそういうけど、
やっぱり悪いよね…
「玲菜…ゴメンな
俺がすぐ届けてればよかったんだけど…」
拓真…拓真のせいじゃないのに…
「拓真…違うよ??
私が忘れてっちゃったから…」
「でも、龍星のこと話してなかったら…」
「拓馬…??
自分のこと責めちゃダメ」
「だって、俺がもうちょっと遅かったら
玲菜死んでたかもしれないんだよ?!」
…死ぬ、か
「拓馬」
私が“死ぬ”という単語を聞いて黙ってしまうと龍という人の声がした
「そんな簡単に死ぬという言葉を口にするな
人は生きたいと願う限りはしなねぇ」
「ッ…玲菜、ゴメン…」
拓真はそうつぶやくとどこかに走って行ってしまった
「拓馬!!」
私が追いかけようとすると誰かが私の腕をつかんだ
「離して!!」
「今はそっとしておいてやれ」
私の腕をつかんだ人…龍さんは拓真が走って行った方向を見ながら言った