そばにいたい。




「玲菜!!」

「りゅ、う…」

先生が注射をうち終わったとき、入ってきたのは、龍。


龍が入ってきたのをみた玲菜ちゃんは両手を上げた。

まるで、抱っこしてと言ってるみたいに。

龍は一瞬、目を見開き、そして、直ぐに優しい顔になり、玲菜ちゃんに近づいた。


「どうした??玲菜」

そしてそのままぎゅっと抱きしめた。

こんな龍見たことねーよ。

こんな、女のために必死になってる姿。


「ん??玲菜??」

「りゅ…は、き、そぅ…」


!!やっと言った。
ずっと我慢していたんだろう。

龍が容器を差し出して背中をさすってやると激しく戻し始めた。


「ぅ…ゴホッ、ケホケホ…ハァ、ぅ…」

何もいわず黙って背中をさすってあげる龍。


「玲菜ちゃん、大丈夫だよ。ほら、落ち着いて」

しばらくして、はかなくなったものの、激しく咳き込み始める玲菜ちゃん。

喘息か…??

先生は必死に落ち着かせようと頑張っている。


「ケホケホッ、ハァ…ゼェゼェゴホッ…」

それでも全然落ち着かなくて、本当に大丈夫なのかと思ったとき、龍が抱きしめトントンと背中をたたきはじめた。

「ほら、玲菜、深呼吸は??」

「コホッ、すぅ、ゴホッゴホッ…はぁ」

声をかけながら一緒に呼吸を整えてやる龍。
玲菜ちゃんも少しずつ深呼吸をし始めた。
< 86 / 232 >

この作品をシェア

pagetop