へくせん・けっせる
第五話:ケーキバイキングのお店に着くまで
雨降りの中ケーキバイキングへ
四月十八日。
今日はシトシトと雨が降っていた。
幸い、築三十年でもこの部屋は雨漏りしない。
私が住む以前にはしていたらしいが、現在はもう修理済みだ。
だから雨でも快適な一日を過ごせるのだ。
しかーし、そんな素晴らしい八畳の部屋に、現在私はいなかった。
「ら、ら、ら、らびおり~」
「変な歌を歌うなっ!」
「あてっ!」
私は傘を差しながら右隣りを歩く茜にチョップをくらった。
「いやいやー、二人とも元気だねー。私はジメジメのせいで髪がハネまくって最悪なんですがねー」
同じく左隣りの美紗が、ふわふわと色んな方向にハネた髪を指で弄りながら不機嫌そうに笑った。
「叩かないでも良いでしょうが! まったく……それにしても、美紗はまだくせっ毛治ってないんだね」
「「治るかっ!」」
「そうなのっ!?」
バシッ、と両側からのツッコミチョップをくらった。
私たちは、雨だというのに三人で街中を歩いていた。
なんでも、駅前の店でケーキバイキングが今日限定で食べ放題三時間、なんと五百円だと言うらしいのだ。
「でもさー、本当なの? 三時間五百円って、どう考えてもそこ潰れるでしょ?」
先程の叩かれた頭を擦る私を挟んで、美紗が茜に聞いた。
「おぉ、よーわかったな。そやで、そこもう店仕舞いやて。せやから、閉店セール……みたいなもんやろな」
茜がそう言って、パシャッと浅い小さな水溜まりを踏んだ。
今日はシトシトと雨が降っていた。
幸い、築三十年でもこの部屋は雨漏りしない。
私が住む以前にはしていたらしいが、現在はもう修理済みだ。
だから雨でも快適な一日を過ごせるのだ。
しかーし、そんな素晴らしい八畳の部屋に、現在私はいなかった。
「ら、ら、ら、らびおり~」
「変な歌を歌うなっ!」
「あてっ!」
私は傘を差しながら右隣りを歩く茜にチョップをくらった。
「いやいやー、二人とも元気だねー。私はジメジメのせいで髪がハネまくって最悪なんですがねー」
同じく左隣りの美紗が、ふわふわと色んな方向にハネた髪を指で弄りながら不機嫌そうに笑った。
「叩かないでも良いでしょうが! まったく……それにしても、美紗はまだくせっ毛治ってないんだね」
「「治るかっ!」」
「そうなのっ!?」
バシッ、と両側からのツッコミチョップをくらった。
私たちは、雨だというのに三人で街中を歩いていた。
なんでも、駅前の店でケーキバイキングが今日限定で食べ放題三時間、なんと五百円だと言うらしいのだ。
「でもさー、本当なの? 三時間五百円って、どう考えてもそこ潰れるでしょ?」
先程の叩かれた頭を擦る私を挟んで、美紗が茜に聞いた。
「おぉ、よーわかったな。そやで、そこもう店仕舞いやて。せやから、閉店セール……みたいなもんやろな」
茜がそう言って、パシャッと浅い小さな水溜まりを踏んだ。