絶対にみちゃダメ!
 すぐに2-Aという札のかかった教室に着いた。

 今日からここがあたしの新しい教室だ。

 思わず緊張してゴクンと喉を鳴らす。

「そんなに緊張しなくて大丈夫よ~。最初はちょっと戸惑うかもしれないけど」

 ふふふ……と雅が微笑んで、扉の金の飾りのついたドアノブに手を掛ける。



 中に入ったあたしは、ただただ圧倒されるしかなかった。

 あたしの中の教室っていったら、四角い部屋の中に、小さな学校用の椅子と机が並んでいるだけだ。

 でもここは違った。

 やたら大きな黒板の前に、どっしりした教卓がおいてあって、そこから後ろの席の方に向かって、階段状に長い机が並んでいた。

 部屋の中は廊下と同じで全体的に白っぽく、明るい。

 やっぱり大きく窓が切り取られて、さんさんと日差しが入り込んでいた。

 さすが東雲学院。

 あたしは開いた口がふさがらなかった。



「好きなところに座って平気だから、行きましょう?」

 雅に言われ、やっと我にかえったあたしは、後について歩き出した。



 段を一段ずつ上っていくたびに、刺すような視線を感じる。

 部屋の中には15人ぐらいいるんだけど、男の子も女の子も皆があたしを見ているんだ。

 その目線は好奇心丸出しだった。





 新学期とはいえ、今日から入ってきたあたしは編入生。

 2年という中途半端な時期からだから、物珍しいんだろうか。

 ジロジロ見られるのは、あんまりいい気分じゃない。

 あたしは動物園のパンダじゃないっての!

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