満月の夜はショッパイも美味しい
勘違いしてる。調味料が足りないんじゃなくて、塩が余分なんだよ。梅干し入れてるのに。

「ご飯は味を楽しむことが大事だと思います。でないとご飯はエサでしかありませんから」

「調味料じゃなくも。環境、会話、そうしたことだけでも味を楽しめるもんさ。差し詰め俺にとって今夜のご飯はご馳走だ」

「ご馳走?」

ショッパイご飯が?

「ひかり降り注ぐ満月の夜、優しくすすきを揺らす風、会話ができる女。こんな楽しい食事に調味料が必要か」

「…私とご飯食べるの楽しい?」

「だな。炊き上がったぞ」

グツグツ音を鳴らす飯盒。梅干しと塩の入ったご飯は絶対ショッパイはずだ。

だけど、もし仮にショッパイご飯を美味しく思えたなら、彼を自宅に誘いカタカナ料理をご馳走してみるのもいいかな。私はキレイな満月を観つつそんなことを考えてみた。

そして彼が用意したご飯を口にしてみる。

「ショッパイ!」

でも…美味しかった。
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