死蜂
「いた?」

「いや、いないな」

別荘の中、屋敷の近辺。

仲間達や現地の人間の手も借りて探したものの、葵の姿はなかった。

「どこ行っちゃったんだろう、葵さん…こんな夜更けに…何かあったのかな」

美晴が心配そうに胸の前で両手を握り締める。

彼女の父親の別荘地。

しっかりと管理されているから、不審者が屋敷内に侵入していればすぐわかる。

逆に言えばセキュリティは万全という事なのだが、それでも完璧という訳ではない。

また、島は自然も色濃く残している。

野生動物も少なからず生息しているし、熊や野犬こそいないにしても、毒蛇や昼間に話した蜂などの被害を受ける危険もあった。

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