死蜂
とはいっても、その危険な林の中に、葵が迷い込んでしまった可能性も否定できないのだ。

朝になるまで待っていたら、手遅れな事態になるかもしれない。

「行こう」

恭平が懐中電灯を握り締める。

「私も行く!私がこの中では一番島に詳しいから」

美晴が同行を申し出た。

無論他の仲間達も。

誰一人として、葵を見捨てようなどと考える者はいない。

現地の人間達は、『蜂』を理由に林に入る事を頑なに拒んでいたが…。


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