死蜂
10分ほど林の中を進んだところで。

「あ!」

美晴が声を上げる。

大きな木の幹の下。

葵がしゃがみ込んで、俯いていた。

「葵さん!」

美晴の呼びかけ。

「……」

葵はゆっくりと顔を上げ、仲間達の方を見る。

泣いていたのだろうか、目は腫れて、酷くやつれたような表情だった。

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