死蜂
強引なくらいに美晴の手を引っ張って走り始める恭平。

時折振り向きながら、死体達との距離を確認する。

肉を食らう事に集中していた為、死体達との距離を稼ぐ事ができた。

「どこに逃げるのっ?」

美晴が言う。

対岸の港町から迎えの船が来るまで、この島からは出られない。

船そのものが島にはないのだ。

「別荘に戻る」

混乱しきった頭を無理矢理に働かせて、恭平は言う。

「別荘の電話でも何でも、何とか連絡を取って助けを呼ぶ。もう俺達だけじゃどうにも出来ないよ」

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