死蜂
「!」

何事かまくし立てられ、三人は振り向く。

美晴の別荘に雇われている現地の男性が、険しい表情で声を上げていた。

「美晴ちゃん、何て?」

イタリア語らしく、理解できない。

恭平が美晴に訊ねる。

「…林の奥に入っちゃ駄目だって」

栗色の髪を揺らし、美晴は頭一つ背の高い恭平を見上げる。

「蜂の巣があるから、危ないみたい」

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