スイートスキャンダル
「あ、遥さん。ニッコリ笑って、『あーん』って言ってみて下さい」


「……バカな事ばっかり言ってないで、さっさと食べなさい」


「うっ……!」


笑顔の柊君の口に強引に椎茸を突っ込むと、意表を突かれた彼がむせそうになっていた。


「強引過ぎですよ……」


何とか咀嚼(ソシャク)した柊君は、眉を下げて苦笑している。


「柊君がバカな事言うからでしょ。……大体、ちゃんと食べられるんじゃない」


「あぁ。椎茸が嫌いって言うのは嘘なんで、普通に食べられますよ。そもそも、好き嫌いはほとんどないですし」


「は……?」


「あんな風に言ったら、遥さんが食べさせてくれるかなって思ったんです」


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