スイートスキャンダル
ニコニコと笑う柊君から、フイッと顔を背けた。


「ちょっ、遥さん」


悪びれも無く笑っていた彼に小さな怒りが込み上げて来たのは、言うまでも無い。


「あたし、嘘つきは嫌いなの」


「ちょっとした冗談じゃないですか!」


「もう知らない」


「拗ねないで下さいよ。ね?」


「人を子どもみたいに言わないで。大体、拗ねてるんじゃなくて、怒ってるのよ」


「いや、どう見てもその顔は拗ねてますよ」


「失礼ね」


「ごめんなさい。謝るから許して下さい。ね?」


騙されたとは言え、眉を下げてシュンとした柊君の表情に心がチクチクと痛む。


仕方なく、彼に視線を戻した。


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