スイートスキャンダル
パァッと輝いた柊君の表情が、あたしの視界を占める。


無邪気に笑う彼に、何故か胸の奥が甘く締め付けられた。


どこか懐かしさを孕んだ感情が、どんな意味を持っているのかはわからない。


「機嫌、直してくれましたか?」


「仕方ないから、許してあげるわ」


「良かった。最後に喧嘩して別れるなんて、寂しいですからね」


不意に柊君がそんな事を口にしたから、胸の奥が小さく痛んだ。


そっか……


駅に着いたら、別れなきゃいけないのよね……


今更、そんな当たり前の事に気付くなんて……


新幹線が進む度、確実に迫って来る別れの時間。


それを自覚した瞬間、寂しさが込み上げて来た。


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