スイートスキャンダル
「実はね、あの旅行の最終日が柊の誕生日だったの。まぁ、柊は遥には何も言わなかったみたいだけど……」


有紀の言葉の意図はわからないまま、旅行の最終日が柊君の誕生日だったという事実に少しだけ驚いた。


彼は何も言わなかったし、そんな素振りを見せてもいなかったから…。


「でね、うちは家族には必ず誕生日プレゼントをあげるのが恒例になってるから、少し前に柊に誕生日プレゼントは何がいいか訊いたのよ」


真剣に耳を傾けていると、有紀がフッと瞳を緩めて笑った。


「そしたらさ、柊は『何もいらないから遥さんに会わせて欲しい』って言ったの」


「え……?」


あたしは目を大きく見開いた後で、瞬きを繰り返した。


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