スイートスキャンダル
カフェを出た後は、柊君がオフィス街にある公園で足を止めるまで、ずっと彼に手を引かれていた。


手の平が汗ばんでいるのは、照り付ける太陽のせいだけじゃない。


「何から話せばいいのかな……」


柊君が戸惑うように眉を寄せたから、あたしは耐え切れずに口を開いた。


「どうして……?」


「え?」


「どうして……誕生日プレゼントに、あたしとの時間を欲しがったの……?」


不思議そうに瞬きをした柊君に躊躇いながらも、さっきから抱いたままの疑問を小さく投げ掛けた。


すると、彼は少しだけ困ったように微苦笑を浮かべた。


「それを有紀から聞いたのなら、理由なんて一つしかないって事くらいわかるでしょう?」


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