スイートスキャンダル
恋愛にご無沙汰だからと言って、そこまで鈍いつもりは無い。


だけど…


「ちゃんと言葉にしてよ」


柊君の言葉で、彼の声で、理由を聞きたい。


その気持ちを込めて柊君の瞳を真っ直ぐ見つめると、程なくしてどこか悩ましげな笑みを返された。


「ずるいなぁ、遥さんは……」


嫌味な言い方じゃなかったけど、自分に向けられた言葉が理不尽に思えてムッとした。


「あたしのどこがっ……!」


「初めて会った時も、結婚式で再会した時も、この間の旅行の時も、今も……簡単に俺の心を奪うんですから……」


抗議をしようと出した声は、愛おしげに優しく微笑んだ柊君にそっと遮られてしまった。


< 142 / 200 >

この作品をシェア

pagetop