スイートスキャンダル
「悔しかったけど……有紀だけが頼みの綱だった俺には、まずは有紀に俺の気持ちを認めさせるしかなかったんです」


柊君は苦笑しながら近くのベンチに腰掛け、あたしにも隣に座るように目配せをし、ゆっくりと息を吐いた。


「誕生日に限らず、何度も頼んで……。どういう心境の変化なのかはわかりませんが、今回やっと聞き入れてくれたんです」


「諦めようとか、思わなかったの……?」


突飛過ぎる話が信じられなくて、柊君の表情の変化を見逃さないように彼をじっと見つめる。


「どうして?振られたのならともかく、好きな人に気持ちを告げる前に諦めるなんて、バカバカしいじゃないですか」


柊君は不思議そうな顔をした後、しれっと言い放った。


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