スイートスキャンダル
「ちょっと待って!」


形振(ナリフ)り構わずに柊君の後を追うと、後ろでドアが閉まる音がした。


「えっ……!?」


どうやら発車寸前だった新幹線に、乗ってしまったらしい。


「嘘……」


「遥さん、こっちです」


柊君はしれっと言い放った後、前の方の車両に向かって歩き出した。


「柊君、荷物っ……!」


慌てて手を伸ばすと、彼が足を止めて振り返った。


「荷物はちゃんと返します。でも、新幹線はしばらく停まりませんよ?」


「まさか……」


「はい、快速なんで」


言葉を失って目を見開くあたしを余所に、柊君は二人分の荷物を荷物棚に置いた。


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