スイートスキャンダル
「1週間も我慢してたんだから、ちょっとくらい……」


「全然ちょっとじゃなかったくせに……」


ボソリと呟いたあたしの声は、柊君には聞こえなかったみたいだけど…


彼は、あたしが何を言いたいのかはわかっているらしい。


「だから、お詫びです」


綺麗な顔に微苦笑を浮かべながら差し出されたお皿には、出来立てのフレンチトースト。


バツが悪そうにしながらもどこか満足げに笑う柊君に、ほんの少しだけ不満はあったけど…


「今回だけだからね」


あたしは誘惑に負けて、甘い香りを漂わせる白いお皿を受け取った。


もう何度目の“今回だけ”なのかという事には、いつものように気付かない振りをしながら――…。


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