スイートスキャンダル
「さぁ、どうぞ」
柊君は窓側の席をあたしに譲ってくれるらしく、奥の座席に手の平を向けて促しながらニッコリと微笑んだけど、あたしはそれどころじゃない。
やられたっ……!
眉をグッと寄せて言いたい事を飲み込み、ため息をついた。
まだ三回目の対面だと言うのに、柊君と二人きりで旅行をするなんて有り得ない。
「……電話、して来るわ」
一先ず有紀に抗議をしようと小さく言い残し、電話が出来る場所まで移動した。
だけど…
「お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所にあるか……」
スピーカーから聞こえて来たのは、無機質かつ薄情なアナウンスだった。
柊君は窓側の席をあたしに譲ってくれるらしく、奥の座席に手の平を向けて促しながらニッコリと微笑んだけど、あたしはそれどころじゃない。
やられたっ……!
眉をグッと寄せて言いたい事を飲み込み、ため息をついた。
まだ三回目の対面だと言うのに、柊君と二人きりで旅行をするなんて有り得ない。
「……電話、して来るわ」
一先ず有紀に抗議をしようと小さく言い残し、電話が出来る場所まで移動した。
だけど…
「お掛けになった電話番号は、現在電波の届かない場所にあるか……」
スピーカーから聞こえて来たのは、無機質かつ薄情なアナウンスだった。