スイートスキャンダル
いつも通りの時間に家を出て、駅の改札口で柊君と別れた。


反対側のホームに姿を見せた彼があたしに気付いて、いつものように柔らかい笑みを浮かべる。


軽く手を振った柊君に微笑みながら手を振り返し、ホームに入って来た電車に乗った。


会社までは、前に住んでいたアパートから通うよりも少しだけ遠くなってしまったけど、以前よりも10分だけ早く家を出る生活にももうすっかり慣れた。


もう、半年以上になるんだもんね……


柊君に一緒に住む事を提案された1ヶ月後、彼はあたしの両親に挨拶をしに来た。


年下の恋人を紹介する事に戸惑いを抱いていたあたしを余所に、あたしの結婚を諦めていた両親は言葉通り大喜びで、柊君の事もすぐに気に入っていた。


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