スイートスキャンダル
「結婚式の準備は順調か?」


「まぁまぁ、かな」


「いよいよだな」


「そうなんだけど、まだ結婚したっていう実感すらほとんどないから、何だかあんまりピンと来ないのよね」


眉を小さく寄せて微笑むと、榊原君がフッと笑った。


「確かにな。悪いけど、俺はお前は結婚しないかと思ってたよ」


「失礼ね、って怒りたい所だけど、自分でもそう思ってたから返す言葉もないわ……」


「でもまぁ、幸せそうで何よりだよ。最近は残業三昧みたいだけど、程々にしておけよ」


「ありがとう。じゃあね」


「あぁ、またな」


榊原君と同じフロアでエレベーターを降り、それぞれ自分の部署がある場所へと向かった――…。


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