スイートスキャンダル

「ありがとう……」


嬉しさと感謝と申し訳なさを込めて言えば、柊君がフワリと微笑んだ。


「本当は、俺が少しでも早く遥に会いたかっただけなんだけどね」


あたしに気を遣わせない為にそう言ってくれたのだろうけど、それでも甘やかな声音に紡がれた言葉は疲れを吹き飛ばしてくれる。


「着いたら起こしてあげるから、寝ててもいいよ」


「うん、ありがとう……」


寝るのは申し訳ないと思いつつ、自分で思っているよりも体調が悪かったみたい。


疲れと不調のせいで、あっという間に瞼を閉じてしまった。


時々、夢現(ﾕﾒｳﾂﾂ)に柊君が頭を撫でてくれるのがわかって、あんなにも重く感じていた体が不思議とラクになっていった――…。