スイートスキャンダル
「もしもし、遥?」


たった一回のコールで出た有紀は、あたしからの電話を待っていたのか、どこか落ち着きが無い感じがした。


「うん、どうしたの?」


「ちょっとね。ねぇ、もう仕事終わったの?」


「うん。今、帰ってるとこよ」


有紀が仕事が終わったのかどうかを確認した事を考えれば、何か込み入った話なのだと思う。


「どうしたの?」


「あのね、やっと授かったのよ!」


有紀は、間髪を入れずにとても明るい声で答えた。


「え?」


「赤ちゃんよ!検査薬で調べてみたら陽性だったから、今日病院に行ってみたの!」


心底嬉しそうな有紀の言葉の意味を、程なくして理解出来た。


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