スイートスキャンダル
すっかり話が盛り上がって、駅に着いても電話を切らなかった。


親友からの吉報のお陰で、あんなにもつらかった体が少しだけラクになったけど…


さすがに熱っぽさは残っていて、駅の構内にあるドラッグストアに入った。


「それでね、もう名前も考えようと思うんだけどさ」


「まだ性別もわからないんでしょ?」


「そうなんだけど、あたしより旦那の方が張り切ってるのよ!ずっと『子どもはまだいらない』とか言ってたくせに」


不満を零しているようでも、その声は本当に嬉しそうだった。


「今日なんて、【赤ちゃんの名前】なんて題名の本まで買って来たのよ」


あたしは有紀の話に耳を傾けながら、風邪薬や栄養ドリンクを手に取っていった。


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