スイートスキャンダル
「ちょっと待って!」


不意にそんな事を言われて、反射的に足を止めてしまった。


「……何?」


何も言わない有紀に小首を傾げながら訊いた後で、再び足を踏み出そうとしたけど…


「もしかして……遥も妊娠したんじゃないの?」


彼女の突飛な言葉に、またしてもその場でピタリと止まってしまった。


「…………え?」


「断言は出来ないけど、遥の症状って妊娠初期と少し似てるわよ?」


数秒遅れてようやく反応したあたしに、有紀が穏やかな口調で話した。


「ねぇ、心当たりはないの?アレはちゃんと来てる?」


彼女の質問に頭の中が真っ白になって、その答えを考える前にフリーズしてしまった。


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