スイートスキャンダル
「あのね、柊君。あたし、今回の旅行はキャンセルさせて貰いたいの。もちろん、キャンセル料はきちんと払うわ。だから、もし行くなら柊君一人で……」


「ダメですよ」


「いや、ダメとかじゃなくて……」


キッパリと言った柊君に反論をしようとすると、彼が形の整った眉を下げた。


「……俺と旅行するのは、やっぱり嫌ですか?」


「え?」


「そりゃそうですよね……。俺と一緒に旅行なんて……」


垂れ目がちな目尻が下がったその表情は、さながら捨てられた子犬のようで…


「あ、あのね、別に嫌って訳じゃないのよ……?」


縋るような瞳にじっと見つめられて、良心がズキリと痛んでしまった。


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