スイートスキャンダル
肩の力が抜けたお陰で、トイレでは戸惑う事無く検査を済ませる事が出来た。


すぐに検査薬を箱に戻してリビングに行くと、落ち着かない様子でソファーの周りをウロウロとしていた柊君は、あたしを呼んでソファーに座らせた。


「遥……」


「何?」


「仕事、辞めたくないよな?」


「……えぇ、もちろん。今まで頑張って来たんだから、“辞める”っていう選択肢はないわ」


「じゃあ、もし……子どもが出来てたら……」


そこで言葉を止めた柊君が、何を訊きたいのかはわかる。


いつになく歯切れの悪い彼は、もしかしたら責任を感じているのかもしれない。


「バカね……」


あたしはフワリと微笑んで、柊君の手をギュッと握った。


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