スイートスキャンダル
「何があっても、産むに決まってるじゃない。柊君との子どもなのよ?迷う事なんてないわ」


「遥……」


あたしの言葉に、柊君は安堵の笑みを零した。


「でも、仕事も続けたいから、ちゃんと協力してね?」


「当たり前だろ」


眉を寄せて笑う柊君は、その複雑な表情に反して幸せそうに見える。


妊娠しているかもしれないと思った時、仕事の事を考えて不安を抱いたけど、不思議と出産する事への不安は無かった。


むしろ、柊君との子どもが自分の内(ナカ)にいるのなら幸せだ、と心から思った。


「じゃあ、確認しよう」


「うん」


あたしは握っていた柊君の手を離し、ゆっくりと深呼吸をしてから検査薬を箱から出した――…。


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