スイートスキャンダル
「あ〜、やだやだ。親友にデレッデレの弟の顔なんて、間近で見るもんじゃないわね」


「煩い。だったら、いつまでも俺達の邪魔してないで出て行けよ。外で義兄さんが待ってるぞ」


「言われなくてもそうするわよ」


「あっ、有紀!」


ツンと顔を背けて外に出ようとした有紀を呼び止めると、彼女が不思議そうな顔で振り返った。


「何?」


小首を傾げた有紀を、真っ直ぐ見つめる。


それから、彼女に満面の笑みを向けた。


「確かにスキャンダルだったかもしれないけど、あたしにとっては幸せなスキャンダルだったわよ」


「それ、スキャンダルって言うの?」


有紀は苦笑した後、嬉しそうな笑みを残して控え室から出て行った。


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