スイートスキャンダル
オロオロとするあたしを余所に、柊君がパァッと表情を輝かせた。


「本当ですか?」


「う、うん」


「俺の事、別に嫌って訳じゃないんですね?」


「それは、まぁ……」


「だったら、15年来の親友の弟だし、この機会に仲良くして貰えますか?」


「え?えぇ、まぁ……」


「じゃあ、お近付きの印に一緒に旅行をするのもOKですよね?」


「そ、そうね……」


柊君の綺麗な笑顔に押されてついコクコクと頷くと、彼が右側の口角だけをゆっくりと上げてニヤリと笑った。


「……え?」


自分がバカな事をしてしまったんだと気付いた時には、残念ながらもう手遅れだった――…。


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