スイートスキャンダル
「時間は、2時間あれば充分ですよね?俺は部屋の鍵を持って行きませんから、ベルを押したらちゃんと開けて下さいね?内側からきちんと鍵さえ閉めておけば、遥さん一人でも大丈夫でしょうし」


柊君は用意されていた浴衣を手に取って、ドアの方へと体を向けた。


「じゃあ、また後で」


「あっ、柊君!」


「はい?」


部屋から出て行こうとした柊君を呼び止めると、彼は相変わらず柔らかい笑みを浮かべて振り返った。


「……1時間!」


「え?」


「1時間もあれば充分よ!」


「わかりました」


思わずそんな事を言っていたあたしに、柊君は何故か嬉しそうに笑いながら頷いた。


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