スイートスキャンダル
柊君が出て行った後、急いで服を脱いで露天風呂に足を踏み入れた。


「うわぁ……」


その瞬間、感嘆のため息混じりの声が漏れた。


檜(ヒノキ)造りの露天風呂の向こうには、海が広がっている。


「綺麗……」


キラキラと輝く海面に目を奪われ、思わず独り言を零してしまう。


それから程なくして、体に巻いたバスタオルを取って掛け湯をした。


自宅のバスルームよりも広い檜の浴槽に、ゆっくりと体を沈めていく。


熱過ぎず温くも無いお湯に、安堵のものにも似たため息が漏れた。


「幸せ……」


目の前の綺麗な海と贅沢なこの温泉のお陰で、あたしはやっとほんの少しだけこの旅行を楽しみ始めていた。


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