スイートスキャンダル
「今日はどうしますか?」


二日酔いのせいで中々お箸を進められずにいると、柊君が突然そんな事を訊いて来た。


この近くの海が綺麗な事も、ここに来るまでに通った温泉街にたくさんのお店が並んでいた事も、ちゃんと知っている。


だけど…


「出来ればゆっくりしたいです」


二日酔いと慣れない状況に、随分と図太くなったはずのあたしの精神もさすがに疲れ切っていた。


「じゃあ、ゆっくり散歩でもしましょうか」


「え?いや、そうじゃなくて……」


咄嗟に、このまま旅館で過ごしたいと訴えようとしたけど…


「きっと、楽しいですよ」


あまりにも綺麗な笑みを見せる柊君を前に、何も言えなくなってしまった――…。


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