スイートスキャンダル
沈黙が続く中、柊君がゆっくりと口を開いた。


「遥さん……」


黙ったまま彼の次の言葉を待ちながら、どんな風に責められるのかと少しだけ身構えてしまったけど…


「“幻の温泉饅頭”が売ってますよ!」


あまりにも突然過ぎる言葉に、唖然としてしまった。


「……は?」


「ほら、地域限定らしいですよ!あっ、数量も限定って書いてあるから、早く買わないと売り切れるかも!」


「えっ?ちょっと、柊君っ……!?」


柊君はわざとらしいくらいに明るく言って、あたしの手をグイッと引っ張った。


そのまま彼に手を引かれて、気付いた時には自分の意思とは関係無く歩き出していた。


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