スイートスキャンダル
「この温泉饅頭、二つ下さい」


柊君はニッコリと笑いながら、エプロンを着けた白髪混じりのおじさんに言った。


「はいよ。兄ちゃん達、温泉旅行かい?」


「えぇ、昨日からそこの旅館に泊まってるんです。温泉は気持ちいいし、海が見えて景色も綺麗だし、本当にいい所ですね」


支払いをしながらも笑顔を崩さない柊君に、おじさんがニコニコと微笑む。


「いやぁ、アンタみたいないい男にそんな風に言って貰えると、これまた格別に嬉しいねぇ。そっちの姉ちゃんは別嬪(ベッピン)さんだし、アンタら美男美女カップルだねぇ」


「ちっ、違いますっ!!」


陽気に笑うおじさんの言葉を、あたしは慌てて否定した。


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