スイートスキャンダル

★手を繋がないで下さい。

―――――――…



ゆっくりと歩いて、ようやく辿り着いた海辺。


透き通った海は、太陽の光を反射してキラキラと輝いている。


普段は見る事の出来ない景色に、心が癒される。


本来なら、そうなるはずだった。


だけど…


「疲れた……」


デスクワーク三昧ですっかり衰えた体力のせいで、景色を楽しむ余裕を失(ナ)くしてしまっていた。


「大丈夫ですか?」


「ありがとう」


差し出されたペットボトルの麦茶を受け取って財布を取り出すと、柊君が笑顔であたしの手を制した。


昨日から一度も支払いをしていない事を気にしながらも、彼に勝てない事ももうわかっている。


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