スイートスキャンダル
「そうなの?」


「8月に入るとクラゲが出始めるんですよ。刺されたら結構腫れるし、この辺りの海で泳ぐならお盆くらいまでがオススメらしいですよ」


「そうなんだ」


丁寧に答えてくれた柊君に感心していると、今度は彼が不思議そうな顔をした。


「遥さんって、海に行ったりしないんですか?」


「海なんて、大学時代に有紀と行ったきりよ。最近は海どころか、水着すら着てないわね……」


我ながら寂しい夏を過ごして来たものだと思いつつ、もう水着を着る勇気なんて無い。


もし今が海に入れる状況だったとしても、あたしは間違いなく全力で拒否していただろう。


そんな事を考えていると、右手が温もりに包まれた。


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