スイートスキャンダル
貝殻をハンカチで包んでバッグの内ポケットに入れると、柊君がまたあたしの手をそっと握った。


あたしはまるで彼がそうしてくれるのを望んでいたかのように、つい自然と大きな左手を受け入れてしまって…


「ちょっ……!だから、手を繋がないでよ!」


それを隠すように、慌てて大声を出した。


だけど、柊君はそんなあたしの気持ちも見透かすようにフワリと笑って、ゆっくりと口を開いた。


「これは、昨日の新幹線でのビールとお弁当のお礼って事で」


「うっ……!だったら、お金を払うから!」


柊君がそれを望んでいない事を知りながらも抗議をすると、彼はあたしのそんな心情すらも見破るようにクスクスと笑った。


< 64 / 200 >

この作品をシェア

pagetop