スイートスキャンダル
「仕事?」


「そうなの。休暇中だけど、どうしてもやらなきゃいけなくて……」


コクコクと頷いて、笑みを浮かべる。


別に、嘘はついていない。


持ち出しても差し支えの無い書類を持って来たのは事実だし、明日からの業務の為にノートパソコンと睨めっこをしていたのも本当の事。


だからこそ、最初に柊君にボストンバッグを奪われてしまった時は、心底慌てたのだから…。


「もしかして、ノートパソコンとか持って来てますか?」


「あ、うん。書類と一緒にね。あれがないと仕事が出来ないし……」


どうしてそんな事を訊くのか疑問に思いながらも頷くと、眉を寄せていた柊君が納得したような顔をした。


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