大嫌いなアイツ
―――――バチッ
「っ!」
しゃがんだまま顔を上げた吉野と目が合う。
普段は見下ろされてるばかりだから、吉野を見下ろしていることに違和感を感じた。
吉野の上目遣いは新鮮すぎる。
ほんのりと熱さを感じる頬。
吉野から目を離せない―――
「………んとに、おまえは…」
吉野が眉間に皺を寄せて、呟いた。
はぁ、と大袈裟にため息をついて、吉野が立ち上がる。
「ほら。さっさと終わらせて帰るよ」
「あ、うん…」
また、ため息つかれた。
めんどくさいって思われてるんだろうな…。
何か悲しくなって、ちょっぴり泣きそうになった。
それからは何の会話もなく、お互いに無言で片付けをした。
…重い空気が私の胸を締め付けたのは、きっと気のせいじゃない。