大嫌いなアイツ
 


店の外に出ると、雨は上がっていた。
道路はまだ濡れていて、街灯に照らされキラキラしている。


――――カチャン


店の鍵を閉める。
鍵をバッグに仕舞う吉野に声を掛ける。


「…じゃあ。お疲れさまデシタ。」

「あぁ。お疲れ」


ホッとした。
やっと、この重い空気から逃れられる。
この胸の苦しみからも。


――――そう、思ったのに。



 
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