大嫌いなアイツ
―――力が抜けて身体が崩れ落ちそうになった頃、吉野の唇が離れた。
そのまま、私の身体は吉野の胸に寄りかかる。
「―――はぁ…っ!」
息を必死に調え、吉野に文句を言おうと思った時、
「……………嫌い、なんて二度と言うな。」
「―――!」
上から呟くように聞こえてきた声に、吉野の顔を見上げると、悲しそうな表情をして私を見ていた。
私は何だか悪いことをした気持ちになった。
「…う、ご、ごめん…」
つい謝ってしまう。
そりゃそうか…
嫌いなんて言われたら、気分悪くなるよね…。
「よ、吉野く…」
吉野は焦る私の顔をじっと見てる。
その目に吸い込まれそうになって、私はさらに焦った。
「―――許せないけど…そうだな。じゃあ…」
吉野の顔が近付いてきて、私の耳元で囁いた。
「俺のこと好きなら、このまま―――…」