大嫌いなアイツ
「!!!」
私から顔を離した吉野の表情は、ニコニコと満面の笑みで。
私はと言うと、吉野の甘過ぎる誘いの言葉に焦るばかりだ。
さっきの悲しそうな表情はどこ行ったの!?
…その表情も反則だしっ!
でも、負けない…!
「む、無理…!また、そのうち…」
「――――――却下。もう、我慢の限界だし。ほら、行くよ」
「へっ!?ちょ…!」
我慢の限界って何!?
そんなの、無理だってばぁぁぁ!
心の準備ってものが…!
抵抗しつつも頭の中にぐるぐると回るのは、吉野の甘い言葉。
俺のこと好きなら、このまま俺の家来てよ。
…抱きたい。
赤面どころじゃない言葉に、ほんとどうしたらいいのかわからなかった。
―――結局。
抵抗も虚しく、そのままズルズルと引きずられて、私は吉野の家に連れて帰られてしまった…。