大嫌いなアイツ
*
店内はシンと静まり返っている。
「―――終わったか?」
「…まだ」
梨夏はちょっと拗ねたような声で答え、ぺら…ぺら…、とお札を数えている。
「手伝うよ。これ数えたらいい?」
俺の言葉に梨夏はお札を数える動きを止めて、俺のことを見上げた。
そして、コクンと頷く。
「………ありがと」
「――――いいえ。」
あーまずい。
梨夏お得意の、無意識誘い。
さっさと終わらせるに限る。
…こんな場所で押し倒すわけにはいかないし。