大嫌いなアイツ
―――耳を疑った。
まさか、小林さんが岡部を狙っていたなんて。
マジかよ…
…ていうか、こんな場所で堂々とコクってんじゃねぇよ。
俺の中に苛立ちが生まれる。
好きな女に楽しく接することができる小林さんに対して。
堂々と告白をしてしまえる小林さんに対して。
岡部に笑顔を向けてもらえる小林さんに対して。
…そして、はっきりと断らない岡部に対して。
まさか、岡部も小林さんのことを…なんてことはないよな…?
俺の狭い心の中に、不安が走った。
「ね?梨夏ちゃん」
「あ、あの…」
迫る小林さんに、岡部は言葉を濁すだけ。
…何だよ?その沈黙は。
断らない、のか…?
「梨夏ちゃん。僕、君を楽しませる自信あるよ?だからさ」
「私―――…っ!」
岡部が何かを言おうとした瞬間、俺は咄嗟に二人の前に出てしまった。
…我慢できなくて…
岡部の答えを聞くのが怖くて…。