大嫌いなアイツ
**
―――ほら。
またナンパされてるし。
俺は厨房からフロアを覗く。
フロアには岡部と柄の悪い男の客が話している姿。
―――まったく。
その絡まれオーラは消せねぇのかよ。
「………」
しばらく様子を見ていたけど、いつものようにサクッと断る姿を見れると思ってたのに、その様子が見られない。
何かおかしいと感じた。
…どうしたんだ?
目に映るしどろもどろな岡部の姿に首を傾げた瞬間、岡部が男に腕を掴まれたのが見えた。
「!」
おい…!
何やってんだよ!
…気付けば身体が動いていた。
フロアに向かって。
「…申し訳ありませんが、お客様?…お引き取り、いただけませんか?」