大嫌いなアイツ
*
梨夏とミキさんの会話を聞いた日から1週間。
…今のところ、梨夏にほとんど触れていない。
バイトを終え、事務所の電気を消す。
今日のラストは梨夏と俺の二人だ。
「よし。梨夏、帰ろ」
「うん…」
「明日、梨夏オフだよな?」
「あ、うん」
「いいなー。俺、ランチからフルで入ってるんだよな。…じゃあ、梨夏と次会うの、明後日か」
「…」
梨夏がいないバイトとか、だるすぎる。
早く明後日になってほしい。
…って、今からこんなんじゃ、俺が社会人になったらどうなるんだろう。
きっと、毎日なんて会えなくなるのに。
「……吉野…最近変じゃない?」
「…変?どこが?」
「いや………何か、よそよそしい気がするから…」
「――…そんなことないだろ?いつもと同じだって」
「そう、かな…?」
気付いてたのか。
俺が距離を取ってること。
でも、梨夏を思ってのことだし。
むしろ、梨夏はその方がいいと思ってるんじゃないのか…?
…梨夏の下げてしまった目線と表情に、身体が動きそうになる。
あー抱き締めたい。
梨夏に触らないって決めて1週間しか経ってないのに、すでにこの様だ。