Heart ✰番外編✰





あたしが恋に堕ちた場所。


初恋に陥った場所。


あぁ、この場所だけは綺麗なままでいたい。


こんなところであたしは泣けない。


あの頃の思い出は汚したくない。


恋に落ちたのも、初めて話しかけたのも笑ってくれたのも。


何もかもココが『始まりの場所』だった。


そんな始まりばかりの場所を『最後の場所』にはしたくない。


あたしはそっとドアの近くに行った。


「出られないよ、鍵が掛かってるから。」


その声と同時にあたしはドアに手をかけた。


「じゃあ、開けて。」


「それは出来ない。」


「どうして??」


「梓紗にちゃんと聞きたい。」


「なにを。」


「告白の返事。」


「告白の…………返事………………。」


あたしは鈍器で頭を殴られたような痛みがはしった。


あぁ、神様ってほんとうに居るの??


なら、いまこの状況を無くしてほしい。


あたしの濡れた制服から水がポタポタと垂れていく。


夏起くんの制服からも同じように水が垂れる。


あたしはその落ちていく水滴を見つめながら答えた。







「告白の返事は答えられない。」







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