Heart ✰番外編✰





「……………ハァ…………ハァ………。」



息が切れるのを必死に抑えた。


あと数十段ある階段を駆け上がれば梓紗に会えるんだ。


自然と、俺の顔は緩んでいた。


そして、上がろうと顔を上げた時______。



「あ…………ずさ??」


そこには、1人で俺を心配そうに見つめる梓紗姿があったんだ。



「そんなに息が切れてるけど、大丈夫ですか??」



梓紗は何故か俺に『敬語』で話しかけて来たんだ。



「本当に……………梓紗なのか??」



そんな事を問いかけると梓紗は訝しげに。


「そうですけど、どうしてあたしの名前を知ってるんですか??」


「…………えっ………。」


俺は、少しだけ梓紗に違和感を感じた。


胸がザワザワとなる。


なんだ??このおかしな胸騒ぎは。


俺は近くに居た看護婦さんにとりあえず伝えた。


梓紗が目を覚ましたこと。


そして、梓紗の少しの違和感を。


俺は、ずっと病室の外に居た。


何故か、この時は梓紗に会えなかった。


気まずいんじゃなくて、どこかに『不安』を感じたから。


すると、息を切らせた彩海と琉斗が来た。


「ハァ………ハァ……。」


「遅かったな。」


「梓紗は!?!?」


「今、身体に異常が無いか見てもらってる。」


「良かったぁ~。」


「……………彩海。」


「どうしたの??」


「もし、間違ってたら教えてくれ。」


「うん??」


「梓紗は事故に遭う前に俺に会いにきたよな??」


「……………それはあたしは分からない。」


「そうか…………。」


「あとはある??」


「もう1つだけ。」


「何でも良いよ??」


「今まで彩海が話していた『ある子』って梓紗なんじゃないか??」


その瞬間、彩海の表情が変わった。







< 46 / 70 >

この作品をシェア

pagetop