Heart ✰番外編✰
「……………ハァ…………ハァ………。」
息が切れるのを必死に抑えた。
あと数十段ある階段を駆け上がれば梓紗に会えるんだ。
自然と、俺の顔は緩んでいた。
そして、上がろうと顔を上げた時______。
「あ…………ずさ??」
そこには、1人で俺を心配そうに見つめる梓紗姿があったんだ。
「そんなに息が切れてるけど、大丈夫ですか??」
梓紗は何故か俺に『敬語』で話しかけて来たんだ。
「本当に……………梓紗なのか??」
そんな事を問いかけると梓紗は訝しげに。
「そうですけど、どうしてあたしの名前を知ってるんですか??」
「…………えっ………。」
俺は、少しだけ梓紗に違和感を感じた。
胸がザワザワとなる。
なんだ??このおかしな胸騒ぎは。
俺は近くに居た看護婦さんにとりあえず伝えた。
梓紗が目を覚ましたこと。
そして、梓紗の少しの違和感を。
俺は、ずっと病室の外に居た。
何故か、この時は梓紗に会えなかった。
気まずいんじゃなくて、どこかに『不安』を感じたから。
すると、息を切らせた彩海と琉斗が来た。
「ハァ………ハァ……。」
「遅かったな。」
「梓紗は!?!?」
「今、身体に異常が無いか見てもらってる。」
「良かったぁ~。」
「……………彩海。」
「どうしたの??」
「もし、間違ってたら教えてくれ。」
「うん??」
「梓紗は事故に遭う前に俺に会いにきたよな??」
「……………それはあたしは分からない。」
「そうか…………。」
「あとはある??」
「もう1つだけ。」
「何でも良いよ??」
「今まで彩海が話していた『ある子』って梓紗なんじゃないか??」
その瞬間、彩海の表情が変わった。